大型免許を取得したのでバイク選びに
今回、ネイキッドに乗りたくて予算と相談の上でGSX-S750・Z900・MT−09の3車種に絞って探していたんです。もちろん新車ではなく、限りなく新車に近いものをです。
ピックアップしたのは比較的リーズナブルなGSX・漢カワサキのZ・独特のパワートレーンを持つMTと、どれもが個性的で贅沢を言えば毎日交代で乗りたいと思うほど悩みました。
最終的には、普通にウィリーするほどのパワーに魅力は感じるけど車体デザインが好きになれず、まずMTが脱落。一つ格下のMT-07は、現状のR25と大きさも変わらないのでこれも却下。最終的にはGSXかZかとなって、現車を見に行きました。
バイクショップヤマトさんへ
大阪市鶴見区にあるこのショップで保管されているバイクを見に行きました。GSXもスズキお得意の「不人気車」。いいバイクなのに人気が出ないのはもはやお家芸と言える話ですが、なぜかスズキ歴が長い私は引かれてしまうところもあります。
担当してくれた方はとても気さくで、二人でこのスズキあるあるの話に盛り上がり、バイク業界が厳しいのも配慮しながら最優的にこちらの要望と、Zとどちらにするか悩んでいる事を伝えましたところ、カワサキが推し進めている販売方式を教えてくれたのです。
現在、ホンダとカワサキは専門ショップという形で、大型バイクの販売に力を入れています。ヤマトさんでも正規代理店なのでZ900は仕入れは可能ですが、これまでの仕切り値と違って仕入れ値が極端に上がっていて値引き販売なんて無理という状態。
特にカワサキは、車両販売前も納車の際にも対面で説明をし、初回点検もそこのお店でないとダメで、尚且つ車検やリコールも購入店でできる人しか売ってはいけませんとの規約があるらしく、ネットで遠方に販売する事はできません。
他府県のカワサキプラザじゃないバイクショップで、Z900の2020年モデルを問い合わせたらそう返事が来ました。おそらく違反すると、以降は車両を回してもらえないんだろうと思います。
カワサキプラザへ
そんな事情を教えてもらい、後日、ヤマトさんの近くにあるカワサキプラザに行き「Z900を見にきました」と伝えると、前回、ニンジャ400の試乗の際にZ900RSに乗って「フォン・フォン」と、自分だけいい音を鳴らしながら先導してくれた店長が登場したのです。
しかしこのプラザにZの展示はなく、なぜか店長のウンチクを聞く事に。Z900は今後の展開がわからないとか、カワサキの事情を聞かされてもこっちには関係ない。車両がないなら用事がない。
で、カワサキプラザの販売方法について質問すると、聞いていた通り定価でしか販売しないとの事。プラザによって違うのは手数料で、それも地域性を加味したものであってせいぜい1万円前後の差しかありません。
メンテナンスもカワサキ料金となるでしょうし、バイクショップなのにコーヒーを出してくれたり、個別のブースで商談したり、外装・内装にお金をかけたりと、レクサスみたいな事をやりたいのかなって思いましたよ。
Z900の実車を探して兵庫県へ
大袈裟に兵庫県としていますが、あまり印象が良くなかったので店名を出すわけにもいかず、特定されるような情報は差し控えようと思っての事です。
ビックスクーターを探していた頃、一度ここには来ているので場所はすぐわかりました。到着して「Z900の問い合わせをした者です」と伝えると、お客さんとの対応で忙しそうなお姉さんが「2階へどうぞ」と一言。
知ってますよ、外から見えてましたもん。あんな出しにくい所にあると言う事は、そこそこの期間売れていない証拠でしょう、なんて思いながら階段を上がっていきました。しかし、このバイクにしようかなと思っている者が来ているのに誰もついて来ません。
しばらくすると店長が上がってきて「R25を移動しますね」と私の鍵を求めてきました。代わりにZの鍵を渡されたのですが「えっ、ショールームの奥にあるここでエンジンかけていいの?」とチンプンカンプンに。
移動を終えた店長が鍵を返しにきましたが、ここでも車両について説明をする事もなくすぐに降りていき、仕方がなく私も下へ。すると椅子に座るように促され、その間も電話の応対で忙しそうにしながら話をぶっ込んでくる。
下取りの話もしていたので、主語もなくいきなり「ABSついてます?」とか、「メール送ったんですよ、15万で」とか話してくるので、前回ビックスクーターの商談の時のことを思い出してきました。そうだ、あの時もなんとなく偉そうと言うか、距離が縮まらず会話が弾まなかった事を。
実車を見てシート後方が意外なほどショートカットされ、いきり立ったカマキリみたいだなと思ったのと、随所に「漢カワサキ、走ります!」的な雰囲気が写真で見るのと違い、ちょっと仰々しいかな…と思っているところへこの対応。
そして私の車両を移動した時になんの断りも、前振りもなく、勝手に査定し値段を出してきた上に「まだ乗れますから、奥さんの練習用に置いておいたほうがいいじゃないですか」なんて言ってくる。
で、作成した見積書を渡してくるのはいいけど、内容についても説明もなし。挙句、最後に「まあ、すぐ売れると思いますんで」と強気の発言でこちらの返事を早くしろと言わんばかりの決めセリフ。
いやいや、売れないから今セール中なんじゃないのと、椅子からずり落ちそうになりました。
まぁ、忙しいのはわかるけど、おたく何目線なん?と思った時、ふと、あの楽しくバイク談議をしてくれたバイクショップヤマトのお兄さんを思い出し、その時点でGSXにしようと決めたのです。
今回の事でいっぺんにカワサキが嫌いになり、いいバイクだけど販売する環境が悪く、Z900と決別する背中を押してくれたお二人にはお礼を申し上げたいほどです。
こんな売り方って、独禁法に引っ掛からないのかい?
大型免許を取得して初めてわかりましたが、最近カワサキプラザって多いなと思っていたら、大型バイクに限りここでしか扱えないシステムに移行しているようで、これまでの正規代理店に卸したとしても仕切り値が高くなっているので値引きは無理になっています。
そして、プラザ以外で購入したバイクはメンテナンスを受け付けない、受け付けたとしても全て有料となる話です。(他所で購入した新車バイクの初回点検が有料になったそうです)
おいおい、その仕組みには消費者が抜けてないかい? 百歩譲って、購入は仕方がないとしても、メンテナンスを行う店がプラザや販売した店じゃないと新車保証もダメかもしれないって、ちょっと無理があると思うんですけどね。
そりゃね、バイク人口が減っている上に無茶な値引き競争をして販売店が苦しくなるよりも、定価販売がすすすめばお店も楽になるよ。でも競争原理がなくなるのはどうなのかな。
バイクショップ全てが百貨店を目指しているのか知らないけど、まだ街中には昔からのバイク屋さんもいるんだよ。地元と長く付き合ってきたお店が明日から急に百貨店になって、昨日まで値引きしていたのに今日から全て定価ですなんて言えるのかな。
カワサキプラザのように洒落た内装で、受付に綺麗なお姉さんを置いてコンシェルジェのような雰囲気を出してまでするぐらいなら、コストを下げてさ、プラザなりの値引きってがあってもいいと思うけどな。
来年からは、ヤマハも大型バイクの販売は同じようなシステムになるかもしれないとの話なんで、2020年モデル以降は国産のビッグバイクは定価でしか購入できないという、消費者にとっては悲しい現実があったのです。